13歳からの法学部入門 [社会人の教科書]
法律はなぜ必要なのか、正義とは何なのか、なぜ人を殺してはいけないのか、自由はいいことなのかといった本質的な問題について、13歳にもわかるように、わかりやすくコンパクトに説明してくれます。こんな法律があります、あんな法律があります、こんな抜け道があります、知らないと損ですよというノウハウ本ではありません。
13歳からの法学部入門
著者は弁護士で、ビジネス書の著書もある方です。法律知識や法的思考力をビジネスや生活に活かす方法を、一般人にもわかりやすく伝えてくれることに定評があります。
本書はこれまでの著書の中で、もっとも説明がわかりやすく、もっとも内容が深いと思います。しかもこれまででもっともコンパクトに、新書本にまとまっています。
法律はなぜ必要なのか、正義とは何なのかといった問題について、アリストテレス、ホッブス、ロック、ルソー、スミス、ベンサム、ロールズ、そしてなんとジョン・レノンの思想を追い、13歳(中学生)にもわかるように説明してくれます。
目次
はじめに
第1章 法律って本当に必要なんだろうか?
第2章 ぼくの正義、君の正義、みんなの正義
第3章 なぜ人を殺してはいけないのか
1 殺人について考える
2 死刑について考える
3 刑罰について考える
第4章 自由と民主主義の微妙な関係
第5章 権利を実現するのは大変だ!
第6章 法律を読んで頭を鍛える
1 憲法の枠組みについて知っておく
2 条文と判例について読んでみる
3 法的三段論法を理解する
第7章 日本人は裁判が苦手?
あとがき 13歳の君と、かつて13歳だった大人の皆様へ
法学部入門完了
簡単に読了することができました。もっと深く考えなければならない問題がたくさんあったと思いますが、サラッと読んでしまいました。とりあえず、これから法律を学ぶ法学部生としては、入門完了ということだと思います。
権利を持つ側が弱い立場に立たされることがあることはよい勉強になりました。たとえば、金を借りた側は返す義務がある。金を貸した側は返してもらう権利がある。しかし、借りた側が返さない場合、貸した側に返してもらう権利の行使のしようがありません。
返してくださいと何度も懇願しようが、返せないものは返せませんと言われたらそれまでです。返すよう脅迫したり、無理やり家に押しかけて取り立てでもしたら、貸した側が犯罪者になってしまいます。
お金を返すか返さないかの決定権は返す側にあり、返してもらう権利のある側にはないのです。お金を返してもらうには、貸した側が裁判を起こさなければなりません。お金を返してもらう権利を持つ側のほうが大変で、立場が弱いのです。
社会あるところに法あり。およそ社会には法があります。社会で生きるには、法がどういうものなのかを知っておくことはとても役に立ちます。また、将来誰もが裁判員になる可能性のある時代です。法とは何なのかを考えておくことは、時代に即したことでもあります。
荘司雅彦の法律系著書
次の1冊ということであれば、以下の本をお勧めします。法律にはどんなものがあるか、六法(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)をわかり易く概観し、そのポイントを理解することができます。
レベルは、法律の入門の入門で、初めて法律を学ぶという方にお勧めできます。法学部出身の方や、大学の総合科目(一般教養)で法学を履修したことのあるという方には、既知のことばかりであまり得るところはないと思います。
また、法的思考力をビジネスに活かす方法として、交渉術などのコミュニケーション技法をわかりやすく説明した著書もあり、こちらもお勧めです。
・論理と心理で攻める 人を動かす交渉術 (平凡社新書)
・反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力
・3時間で手に入れる最強の交渉力ー読んですぐに使える説得の裏ワザー
・事実認定の手法に学ぶ 荘司雅彦の法的仮説力養成講座
荘司雅彦オフィシャルWebサイト
http://www.masahiko-shoji.com/
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