なぜザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか? [ビジネス書]
サントリーのザ・プレミアム・モルツが売れています。それは偶然でしょうか。それとも作戦が当たったのでしょうか。この不況下で、通常より割高のこのビールが売れているのはなぜでしょうか。その理由を社員の方々への徹底取材を通してまとめたのが本書です。
- 作者: 片山 修
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/06/07
- メディア: 単行本
ザ・プレミアム・モルツ
ザ・プレミアム・モルツは、サントリーから発売されている、麦芽100％のプレミアムビールです。
プレミアムビールに明確な定義はありませんが、原料や醸造方法にこだわりを持った高級志向のビールといった意味です。「ちょっと贅沢なビール」でお馴染みのヱビスビールもプレミアビールに分類されています。
近所のコンビニで、缶ビール（350ml）の値段を比較すると次のようでした。
「一番絞り」217円
「スーパードライ」217円
「ヱビスビール」254円
「ザ・プレミアム・モルツ」259円
このザ・プレミアム・モルツが売れているのです。この不況下で、通常より40円も高いプレミアビールが売れている理由は何でしょうか。
本書は、その理由を明らかにするために、実際にプロジェクトに携わった社員の方々への取材をまとめたものです。
45年間かかった成功物語
章立ては、営業、開発、生産、ブランド、経営の5つです。それぞれの視点から、このヒット商品がどのように生まれたのかを多面的に分析します。
その内容は、モノが売れない時代に悩む多くの方に励みになるもので、また企業が生き残るにはどうしたらいいかという参考にもなるものだと思います。
ザ・プレミアム・モルツが、45年間赤字続きのビール事業を黒字化する原動力になったというのは、サントリーにとっても大きな衝撃です。およそ企業なら喉から手が出るほどそんなヒット商品が欲しいものです。
本書を読むと、そんなヒット商品は偶然に生まれたものではなく、営業、開発、生産、ブランド、経営のすべてが一丸となって生み出されたものであることがよくわかります。また、新しい挑戦を許容するサントリーの企業風土が、それらを支えていたということもよくわかりました。
心地よい成功物語としてサラッと読めてしまいますが、どれも一朝一夕にできることではありません。サントリーにしても、45年間赤字で悩み続けていたわけです。
目次
第１章 営業 デフレに負けない“売る技術”
“攻め”に徹する営業
「暗黒の時代」から続く取り組み
「ハレの日営業」への新たな挑戦
「飲用時品質」を高める
第２章 開発 失敗を成功につなげる“生む技術”
開発者が貫いた「理想追求」の志
開発秘話から見えた「ヒットの法則」
第３章 生産 最高レベルの品質を進化させる“つくる技術”
原料調達のプロの「真剣勝負」
ベテラン工場マンたちの「こだわり」
現場に伝承される「暗黙知」
第４章 ブランド つくり手の想いと消費者を“つなぐ技術”
パッケージ担当者の「閃き」
なぜ矢沢永吉を起用したのか
ギフト専門担当者が伝えたい「コンセプト」
第５章 経営 組織を活性化する“マネジメント技術”
なぜ「意識改革」が求められたのか
新市場創造の「その先」
試飲
本書を飲むと、『プロジェクトX』や『ルビコンの決断』を観た後のような読後感が残ります。そして、ビールが飲みたくなります。せっかくコンビニで買ってきたので、ちょっと試飲してみました。
ヱビスビール
コクと苦味が特徴的です。麦の香りがしっかりしていてコクがあり、飲み応えを感じます。苦味といっても、口の中に苦い味が残る感じはありません。料理の味をスッとリセットしてくれる感じです。
ザ・プレミアム・モルツ
麦よりもホップの香りが強調されていて、華やかで瑞々（みずみず）しい感じです。苦味が特徴的で、引き締まった感じがあり、サッと流れ去る感じです。いつまでもだらだら口の中に居残りしません。
YEBISU/ヱビスビール/ヱビスのこだわり
http://www.yebisubar.jp/yebisu/
ザ・プレミアム・モルツ ビール サントリー
http://www.suntory.co.jp/beer/premium/
物語を知ると、なお一層美味しく感じられます。
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